2018年4月9日 

第1862話:雪花絞り 浴衣

絞り染めの発祥は約2000年前、布に柄をつける技法としてインドやアフリカで自然発生的に発展したことに起源がある世界で一番古い染色技術と言われています。それからシルクロードを渡って仏教と共に日本にやってきたのは、今から1300年前の奈良時代のことで正倉院には絞り染めを施された生地が残されています。日本の伝統文化は世界で唯一千年以上の伝統を持っている国で他の国では戦争や様々な事で500年以上前の時代はどんなものだったか憶測でしかありません。例えばエジプトや南アメリカにあるピラミッドが当時どんな技術で作られたのか未だに憶測でしかないのはその作り方が受け継がれていないためです。以前中国の敦煌からある経典が出てきました。それは経文の裏に意味不明な記号が書かれていたのです。当時それを発見したイギリス人考古学者はそれを「僧侶による落書き」だと考えました。すでにこの頃自国の中国人にもこの記号がわからなかったのです。ですが、これを見た日本の宮内庁楽府の人は「この記号は雅楽の譜面に良く似ている」と言い、雅楽の譜面と照らし合わせた事でこの記号が譜面であることが判明しました。その後、中国の学者と共に研究を重ねることによって敦煌時代の音楽が再現されたのです。もし雅楽の伝統がなかったならば私達はこの音楽を聞くことは出来なかったかも知れません。伝統がなくなってしまうとそれを復元再現するのに大変な労力と時間を要します。ですから日本では過去の文化や風俗や技術を簡単に復元再現する事が出来、そこから新たなアイデンティを生み出すことが出来ます。伝統文化を持つということは国や文化を発展させるのに大切な役割を持ちます。古くから受け継がれてきた技法と道具を使うことは時代遅れではなく伝統の意味をしっかりと考えてと取り組まなければと思います。

本日は「雪花絞り浴衣」

▼今年の雪花浴衣です。比較的容易な手ぬぐいと違って浴衣で雪花を表現するのは困難です。かなり集中しました。

▼干し場が明るい。

今年も沢山浴衣を染めます。ご期待下さいませ。

たばた

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