第2066話:授業の様子

2020年12月2日 

「色落ち」について。

洗濯が条件になっているモノを染める際には色落ちしにくい染料を使用しております。

それでも条件によっては色落ちしてしまうことがあります。一体どうゆうことなのかとゆうところです。例えばどんなに頑丈な家を建てても地盤が悪ければ時間と共にその家は傾きやすくなり、傾くことで壁が剥がれたり屋根がずれたりします。地盤が緩ければ少しの揺れでも崩れてしまいます。

なんだこの家は!?と家の構造や建て方や材料を調べても家は丈夫なんです!

問題は基礎部分です!地盤が強くて基礎がしっかりしていれば丈夫な家は丈夫と言えると思います。

染色も同じで色落ちしにくい染料を使用しても生地に問題があれば色落ちしにくいとは言えなくなります。繊維の表面には製織前の準備工程で縦糸にサイジング剤としてデンプン、PVAやワックスなどの二次夾雑物が付与されています。これで完結の場合は無色透明のサイジング剤は問題なくお洗濯や日光や使用回数によって除去されていきます。

しかし、その生地を染色する場合は染色前に摂氏78度から82度でこれらの二次夾雑物と一次夾雑物を主に連続処理にて除去しなければなりません。

精錬後(除去後)、生地に対して染料、水量、助剤を計量し十分な時間をかけて撹拌しながら染色し、ソーピングで余分な染料を洗い落としきれば完成になります。

ですが後染めを想定していない繊維には稀に落ちにくいサイジング剤が使用されており精錬で落としきれず残ることがあります。本来は繊維に染料がしがみつくことで色落ちしにくいと言えるのですが、落としきれなかった不純物は繊維をコーティングした状態で残っているため染料は不純物の上からしがみつくことになります。つまりはその不純物が洗濯や日光や使用回数で繊維から手を離した際に染料も繊維から離れることになり、結果色落ちになります。染料は繊維にしっかりしがみついていても汚れを落とすために擦ったり熱で浮かせたり叩いたり弱らせたりするとやっぱり耐えれなくなる時はきてしまいます。

人間と一緒です。

色落ちしにくい染料は頑張っておりますが条件によっては手染めの味としてご理解よろしくお願いいたします。

▼大学での授業の様子。

みんな無事素敵な浴衣が完成しました!

大事なのは結果ではなく過程だと思います。過程が良かったから結果に繋がったのだと思います。素晴らしい取り組みだったと思います。

たばた

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