第1597話:ジーンズを作ってる友人の話

2016年3月9日 

サンプルが!!!縫い上がらん!!!

もうここ数年で国内の縫製工場が激減、溢れたメーカーが残った工場へ集中し、現存する工場はどこもごった返し。
うちの縫製工場も然り、サンプル制作を依頼しても全く納期が読めない。

工場に仕事が溢れるといいんじゃないかという単純な話ではなく、限られたキャパの中で利益を出していく為には工場も仕事を厳選していかないといけない時代になってきている。

うちみたいな弱小は普通なら相手にもしてもらえないくらいだけど、なんとか長年の付き合いとまだ過去の実績でまだかろうじてアドバンテージをもらっているという現状…。

何年も前から思っていたけど、工場が潰れるような好き勝手な単価と納期で仕事を依頼して、蓋を開けてみれば全く数量はつかないし工場の利益にならないなんて甲斐性のないブランドさんがアパレル業界には多すぎる。
そんなマザファッカー共は国産にこだわらずに発展途上国で生産をすればいいのにと思う。
一本縫っていくら、で仕事をしている職人さんから工賃を値切るな。
「うちが仕事を出してやってる」的な考えはもうすぐ通用しなくなる。
現場で作業する職人さんがいなければ物は作れない。
お客さんも大事だけど、僕にとっては現場の職人さんはそれ以上に大切な存在。

ファストファッション大流行の影響を受け、限界値まで下がってきた国内での製造コストを、まずは製品を販売するメーカー自体が現場である工場や職人の方の納得、満足できる単価で発注できるような体制に変えて行かないと、これから日本の物作りは本当に廃れていってしまう。

それを避ける為には、この安売り競争に参加しないこと。
一つの製品が出来上がるまでにどれだけ多くの人間の労力と時間がかかっているか、その価値をできる限り消費者へ伝えて「本当の価値」という物を理解してもらう事。
それがこの仕事を選んだ僕の責任でもあるのに、この世の中の大きな流れに逆らず満足いく結果を出せない自分の無力さを痛感する。

しかしお陰でこれから物作りを続けていく上で自分がどうあるべきなのか、どうしていくべきなのか、といった方向性ががハッキリと決まった。

本当に価値のある物、価値があると思える事に対してお金を支払う。
自分は物作りをする人間である前に、一消費者としてもっと賢くならなければと強く思います。

と語っている・・。

うちの商品を染め依頼させて頂いてる染め屋さんにも仕事が集中してきている為染め上る日が読めない。
そして自分の所にも最近よくたくさんの有名ブランドの方からお問い合わせを頂きます。
「雪花絞りを5000反お願いしたい」
「中国にあるウチの縫製業者に絞りを教えて頂いたら大量生産させますので」
「たばたさん、絞りの説明は別にいいですからとにかく売れそうなのを沢山」

時には顔も見たことない人に言われることも・・。

昨年、月平均30反で依頼しますので長い目でお付き合いお願いしますと取引した相手さん、散々納期を急かされなんとか展示会の納期に間に合わせたものの支払いは二ヶ月遅れ。挙句に翌月以降全く仕事は来なかった。お金だけでなく沢山の周りの方からの信用も失った。
なるほどこうして潰れていくのかと少し身に付いた。

本日は「ジーンズを作ってる友人の話」

▼こちらは一反1時間以上かけて物差しで測りながらアイロンで折り目を付けて13m畳んだ生地に赤の染料で染め、十分に乾かしてから黄色の染料で染めた雪花絞り。

image2 (640x480)

何もない焼野原で何が生み出せるのか、まだまだ勉強して自分も賢くならなければと強く思います。

たばた

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